夢
今日も空は果てしなく広がり、吸い込まれそうな青色をみせる
一面の緑の草原
風の流れに一斉にその葉を揺らす。
――波のように
瞳は虚空を見つめる
ここではないどこかにいきたい
そう願っているかのように
もどかしさだけが心を支配する
一際強く吹いた風が髪を空へとなびかせた
自らの淡い長い髪が踊る
何かを感じて視線を転じた
遠目に誰かがいるのがわかる
呼んでいる──?
名残おしげに再びうしろを振り向いた
何もない、ただ何も変わらない草原の海。
細めた瞳、にじむ視界
軽く瞳を閉じる
ほんのわずか浮遊感を伴う熱い感覚が全身を走りぬける
再び開いた瞳で、両手に抱えるほど生まれた淡い、薄紅の花を見る
抱え上げた両手
呼応するように吹きぬけた一陣の風が花をさらう
空へ飛ぶ無数の小さな花
祈りをこめて送った花に別れを告げて、待っている人の元へ
今日も哀しみを背負って──